根拠のない大丈夫を浴びまくる
上から下まで走り回って報告しまくった。
人事を動かすのに、癌ならみんな納得して動いてくれる。
え!嘘でしょ!
マジですか?もう。確定ですか
そっか。いい民間療法知ってるから教える。
嘘ですよね。ダメですよ、そんなの。
男でも泣く人もいれば、女でも私と共にふざけた口調に乗ってくれた人もいた。
「もう、命のためなら、オッパイとはちゃんとさよならしなさい。あなたの魅力はオッパイとかどーでいいぐらい凄いんだから。だから、大丈夫!大丈夫だからね!」
とボロボロの涙を流す体育教員の涙にはこっちもグッと来た。
オッパイで良かったよ。臓器の中で最も捨てて良いから
と私が言ったら、ぎゅーってして、
「そんな事ない。体のどの部分も大事。あなたの一部なんだから。」
と慰めてくれる社会科教員にも涙
教師ってやっぱり言葉が上手い。そう、それ言って欲しかったって言葉をかけてくれる。
オッパイとかいらない。オッパイはやっぱり大事。
どっちも誰かに言って欲しかったんだと思う。
ワガママな私を読み取ってくれてありがとう
どの人も大丈夫という励まし言葉をくれた。
大丈夫では無い。それだけは確かなのに。
本人としては根拠のない大丈夫はあまり
そしてこれをチャンスとばかりに
とても仲の悪い2人の職員を呼び出して、
「あなたたちの喧嘩の仲裁を半年やってきたけど、もう出来なくなるよ。私、癌なのよ。だから、よろしく」
と言うと、もう心配はかけられません!うまくやっていきますと宣言させられた。
素晴らしい。癌の威力は偉大だ。ガタガタグチグチを一瞬で黙らせる。
根本的解決ではないが、まあいいや。
人の癌はエンターテイメントと本に書いてあった。
その通りだと思う。
そして私自身もエンターテイナーになってしまったのだと思う。